一般的な状況
個人事業主は、事業主一人のみ、家族のみ、あるいは少数の従業員を抱える小規模な経営が一般的です。
また、個人事業主の場合、会社員と違い、企業からの保障がなく、社会保障の面でも健康保険の傷病手当金や雇用保険の失業給付がないなど大きな違いがあります。
よくある困りごと
個人事業主の病気は、会社役員と同様に、「事業経営」と「生活」という2つの困りごとを生じさます。しかし、より直接的に事業へ影響を与え、休業・業務縮小・廃業を余儀なくされる可能性があるのが個人事業主の場合です。
例えば、個人事業主が入院してしまうと、その間全く仕事ができなくなり、収入が完全に途絶えてしまうこともあるでしょう。収入が減った際に利用できるのが健康保険の傷病手当金ですが、個人事業主のほとんどの方が加入する市区町村の国民健康保険には、残念ながらこの制度はありません。
考え方のポイント
考え方のポイントは、「どのように事業を存続させるか」と「使える制度はあるか」の2つだと思います。
業態や事業規模によって様々ではありますが、事業存続のためにできることは少なからずあると思います。家族や従業員に代わりに動いてもらうことはもちろん、特に専門的スキルの必要な業務の場合、顧客に迷惑をかけないためにも普段から付き合いのある同業者に支援を求めてみてはいかがでしょうか。
逆に、入院期間や治療内容によっては、事業への大きな影響がないことも考えられ、「がん患者の就労と家計に関する実態調査(2010年・CSRプロジェクト)」でも個人事業主のうち「影響がなかった」と答えた方は25%いらっしゃいました。
制度については、医療費負担を軽減する高額療養費制度を利用することができます。その他のどのような制度が利用できるか、健康保険や年金だけでなく、ご自身が加入している民間保険、個人事業主共済(例えば、小規模企業共済など)も確認してみましょう。
※このページの情報は一般論として記載しています。全ての人に該当しない可能性がありますが、参考情報としていただけましたら幸いです。
(担当: 特定社会保険労務士 近藤明美)