相続・事業承継について

一般的な状況

経営者の突然の病気に備えた危機管理は、経営者にとって重要な課題だといえます。

最近では、医療技術の進歩等もあり、倒れてからお亡くなりになるまでの時間が長くなっています。できれば、経営トップになったら、もしくは、病気の宣告をされたら、経営者の「相続前トラブル」ケースを想定して、スムーズに代表取締役を交替できるような仕組み、つまり「事業承継」の準備をする必要があります。

よくある困りごと

まず、誰に承継したらよいでしょうか。第一に、親子や親族による承継。第二に、役員など社員による承継。第三に、第三者による承継。最後に、誰にも承継しない、つまり廃業も選択肢の一つだと思います。

次に、何を承継したらよいでしょうか。ひとくちに、「事業承継」といっても承継する対象は多種多様で、ひとつに「資産・負債承継」と「経営承継」に分ける方法があると思います。前者は、建物や機械や商品、そして、銀行借入などのように貸借対照表にのっているもの。後者は、経営者の経営方針、技術、ブランド、社風、従業員など貸借対照表に載っていないもの、です。

そして、どう承継したらよいでしょうか。前経営者から新経営者へ承継する方法も多種多様で、売却、贈与、貸付(リース)などあります。承継する時期としてはいつがよいでしょうか。相続前にする方法と、相続にあわせて行う方法もあります。そもそも、経営者が個人事業主であるか、法人の株式を保有した経営者であるか否かによって、その承継の手続き自体も変わってきます。

考え方のポイント

このように、事業承継は多方面、多機能にわたりクリアしていかなければならない問題がたくさんあります。ご自分の体調管理の下、事業承継の仕組みつくりが行われますので、病院や担当医師に相談するのはもちろん、事業については、弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、中小企業診断士、不動産業者など、多様な面での専門家への相談が必要になると思います。ご友人に相談できる方がいるのであれば問題ないのですが、もし、いない場合は、取引先銀行に相談すると、各種専門家の方を紹介していただけることもあります。銀行に相談するのは抵抗あるということであれば、所属している団体や商工会議所に紹介制度がないか相談されるのもひとつの方法だと思います。


※このページの情報は一般論として記載しています。全ての人に該当しない可能性がありますが、参考情報としていただけましたら幸いです。
(担当: 税理士 水戸聖子)