会社役員の方へ

一般的な状況

会社役員は、会社を代表する代表取締役や経営に携わる幹部という立場にあります。経営陣として、会社、株主、従業員やその家族、取引先など社外に対する責任など大きな重責を抱えています。

また、会社役員であると同時に、一人の生活者でもあり、役員としてもらう給与によって日々の暮らしを支えています。

よくある困りごと

会社役員の病気は、「会社経営」と「生活」という2つの困りごとを生じさせます。

会社役員ががんを患ってそれまでの責任を果たせなくなることで、会社経営に大きな影響を及ぼすことがあります。特に、会社の信用=社長の信用である小規模な企業においては、社長の病気により、売上の減少が生じ、資金繰りが悪化してしまうことが考えられます。

また、会社役員は労働者ではないので、労働関係の法律や社内制度などで充分に守られていません。就業規則に休職制度があっても利用できず、求められた責任が果たせなければ、辞任せざるを得ないこともあります。

考え方のポイント

考え方のポイントは、「経営責任をどのように果たしていくか」と「使える制度はあるか」の2つだと思います。

実際のケースですが、入院前に取引先を回って療養中の協力をお願いし、療養中は社員が会社を守ってくれたという社長がいらっしゃいました。資金繰りについては、顧問税理士へ事前に相談し、対策しておくことが大切です。

会社役員は、他の従業員同様に健康保険に加入しています。医療費負担については、高額療養費制度を利用できます。収入減少に対しては、傷病手当金制度を利用できる可能性があります。役員報酬をカットするためには、株主総会の決議が必要ではありますが、長期間療養が必要で、役員報酬が払われない場合は、傷病手当金を申請しましょう。

また、会社の配慮で仕事内容を変更し、役員から従業員となったことで利用できる制度が増えたという方がいらっしゃいました。


※このページの情報は一般論として記載しています。全ての人に該当しない可能性がありますが、参考情報としていただけましたら幸いです。
(担当: 特定社会保険労務士 近藤明美)